2022年08月24日
8月の雲 〔中村〕

牟呂校から見渡す景色。
遠く霞む山々、その手前には大小さまざまな家々。
上空には、8月の残暑に押し上げられた雲。
その雲の下にどれだけの人間が生活しているのだろう。
そしてどれだけの感情の交錯が、
ときに熱を帯び眼前を照らし、
ときに刃のように冷たく光り、
喜びと哀しみ、幸せと不幸せを刻み出しては押し流してゆくのだろう。
雲の下にいる人々のほとんどを私は知らない。
またほとんどの人々も私を知らない。
街ですれ違うことすらないまま死んでゆく。
何のために生きているのだろうという自問自答。
何のためにも生きていないのではないだろうかという空しい不安。
いま、雲が流れていく。
その雲の下に、
私の愛する人がいて、
その人が健やかに過ごしていることを、私は知っている。
そんな独りよがりな空想を、
残された時間の糧にする。