2016年08月10日
第4話:茅ヶ崎〔晃詳〕
旅はまだまだ続きます。
ですが、次回は少しお休みです(笑)
第1話:一本の電話
第2話:日本橋
第3話:多摩川
◆ ◆
『茅ヶ崎』
2日目の朝は、早くから歩き始めた。
横浜からのスタート。
8時頃には横浜駅近くの高架の下を通りながら、
左手に日本最大級の百貨店であった横浜そごうを見た。
保土ヶ谷を超えた辺りで、結構な勾配があった。
それは権太坂であったことを、後にテレビの箱根駅伝で知った。
昼を過ぎて、汗臭さを感じるようになった。
炎天下を、汗をだらだらかきながら歩き続けているのだから、当たり前といえば当たり前である。
もちろん昨夜はお風呂に入っていない。
サザンの故郷としても知られる茅ヶ崎でのこと。
夕方近くに、スーパーの駐車場で休んでいると、
見知らぬおじさんに声をかけられた。
歩いて旅をしていることを話した。
「お前ら、どこまで行くの?」
「名古屋までです」
(「豊川」と言っても分からないだろうなぁと、とっさに考えた)
「どうして??」
「それを探しているんです」
そんないやらしい答えを気に入ってくれたのかどうか分からないが、
自分をヤクザだというおじさんは、
私たちの臭さに気づき、銭湯に連れていってくれた。
そして私たちは、お互いに背中を流し合った。
そのおじさんが本当にヤクザだったのかは、分からない。
確かに途中、おじさんは車に飛び込んで保険金を取ると息巻いてたし、
誘ってくれたお寺での盆踊りに付いていくと、
町の人たちが私たちにも気を遣って、アイスをくれたり椅子をすすめてくれたりした。
そこでこんなことがあった。
浴衣姿の皆さんの盆踊りを気持ちよく見ていると、おじさんが言うのだ。
「おい、お前、あそこの寺の鐘を突いてこい!!」
私もまた調子に乗っていた頃である。
多少躊躇はしたものの、旅の恥はかき捨てとばかり坂を上り、
思いきり鐘を突いた。
「ゴーーーーーンンンン」
踊っていた老若男女の皆さんが、一斉に鐘突き台の私を見た。
その後、おじさんは家に泊っていけと言ってくれたけど、
最後に怖くなったのだと思う。
「今日中に平塚まで行きたいんです」
そう断って、また歩き始めた。
平塚の手前にある相模川を渡っている時に、
上流で花火が上がっているのを見た。
距離があるだけにとても小さく見えて、ポッポッと上がっては消えまた上がっては消えていた。
その景色がとても美しくて、
「まるで夢みたいだね」と友人と話した。

~イメージ。あの花火はもっととても小さかった~
この日の出来事は、今でも本当に夢のように感じるのだ。
(つづく)