2017年04月10日

言葉って素晴らしい 〔中村〕

 私は、高校生時分に勉強そっちのけで詩の創作に没頭していました。


 当時の私は勉強で挫折して、生きることや、将来への不安、恋心、自尊心、親への反発、その他諸々の葛藤を吐き出したかったのでしょうけれども、同時に言葉による表現に関心を持ち始めていたもので、それが詩という形となっていった訳です。


 不安定だった私を救ってくれたのが詩だと言っても過言ではないくらいです。






 実際に書き出してみて分かったこと。それは、“創作はとても難しい”という至極シンプルなことでした。


 様々な感情、世界を表現する訳ですが、自分の中にくすぶっているものを言葉に表そうと試しに書いてみると、それはそれは陳腐なこと、、、、はじめのうちは絶望しました(笑)。


 どんな言葉を選び、どういう順序でそれらを組み合わせたら、その言葉の持つ意味以上のものを醸し出せるのか、、、、。言葉による表現の難しさを痛感したのです。






 そんな中、現代詩を代表する谷川俊太郎さんの作品から刺激を受けたものです。
 

 現在、小6と中3の国語教科書に、谷川さんの作品が収録されています。


 
《小6教科書より》

 生きる      谷川俊太郎


 生きているということ

 いま生きているということ

 それはのどがかわくということ

 木もれ陽がまぶしいということ

 ふっと或るメロディを思い出すということ

 くしゃみをすること

 あなたと手をつなぐこと



 生きているということ

 いま生きているということ

 それはミニスカート

 それはプラネタリウム

 それはヨハン・シュトラウス

 それはピカソ

 それはアルプス

 すべての美しいものに出会うということ

 そして

 かくされた悪を注意深くこばむこと



 生きているということ

 いま生きているということ

 泣けるということ

 笑えるということ

 怒れるということ

 自由と言うこと



 生きているということ

 いま生きているということ

 いま遠くで犬がほえるということ

 いま地球がまわっているということ

 いまどこかで産声があがるということ

 いまどこかで兵士が傷つくということ

 いまぶらんこがゆれているということ

 いまいまが過ぎてゆくこと



 生きているということ

 いま生きているということ

 鳥ははばたくということ

 海はとどろくということ

 かたつむりははうということ

 人は愛するということ

 あなたの手のぬくみ

 いのちということ






 谷川さんが織り成す小気味良いリズムと絶妙な言葉の選択、私はこの作品からじわじわと生きる熱量を感じます。


 これが言葉の素晴らしさ、面白味だと私は思います。


 簡単そうに見えるものほど奥が深いのは、文芸についても同じですね。


 この作品を読んで、“何かいいな”というものが胸に残ったあなた、早速詩を書いてみてはいかがでしょうか?


  


Posted by 立志塾  at 00:01中村